エキゾチックな爬虫類の中でも、独特な風貌と意外な人懐っこさで人気を集めているのが「オニプレートトカゲ」です。
その甲羅のようなゴツゴツとした背中と、つぶらな瞳のギャップに心を奪われる飼い主も少なくありません。
今回は、そんなオニプレートトカゲの飼育方法について、初心者の方でも安心して始められるように詳しく解説していきます。
- オニプレートトカゲってどんなトカゲ?
オニプレートトカゲ(Gerrhosaurus major)は、アフリカ東部に生息する大型のトカゲです。成長すると全長40〜50cmにもなり、その堂々とした姿はまさに”オニ”の名にふさわしい迫力があります。
特徴的な外見
最大の魅力は、その名前の由来にもなっている背中の鱗です。
まるでプレートを並べたかのように硬くゴツゴツしており、外敵から身を守るための鎧の役割を果たしています。
この独特な質感は、他のトカゲにはない魅力です。
意外な性格
見た目のゴツさとは裏腹に、非常に温和で人懐っこい性格をしています。
飼い主によく慣れ、手から餌を食べたり、頭を撫でられることを好む個体もいます。
警戒心も比較的低いため、ハンドリングも比較的容易です。
寿命
適切な飼育環境下では、10年前後生きると言われています。
長きにわたって一緒に暮らせる、生涯のパートナーになり得る存在です。
ただ、流通しているほとんどの個体がワイルド個体(野生採取個体)なので、その時点で何年生きている個体かはわからないことが多いです。
- 飼育に必要なアイテムとケージのセッティング
オニプレートトカゲを迎え入れる前に、まずは彼らが快適に過ごせるための環境を整えましょう。
- ケージ
サイズ:
90cm以上の幅があるガラスケージや木製ケージがおすすめです。
幅60㎝で奥行きが45cm以上あるものでも飼育は可能です。
通気性を確保するため、両サイドや天面がメッシュになっているものを選びましょう。
床材:
通気性が良く、保湿性も適度にあるものが適しています。
ヤシガラ土、爬虫類用サンド、ウッドチップなどが一般的です。
誤食のリスクを考慮して、あまり細かすぎないものが良いでしょう。
- 照明・保温器具
オニプレートトカゲは、昼行性のトカゲです。
日光浴をして体温を上げ、活動するために欠かせないのが、以下の照明器具です。
- バスキングライト(保温球):
ケージ内の一部に局所的な熱源を作り、トカゲが体を温められる場所(ホットスポット)を作ります。
ホットスポットの温度は35〜40℃になるように調整しましょう。
- 紫外線(UVB)ライト:
爬虫類がカルシウムを代謝し、骨格を形成するために必須のライトです。
UVBを照射することで、くる病などの病気を予防することができます。
点灯時間は1日に10〜12時間を目安にしましょう。
- 温度・湿度管理
- 温度計・湿度計:
ケージ内の温度と湿度を常に把握するために必須です。
ホットスポット、クールスポット(涼しい場所)両方に設置し、適切な温度が保たれているか確認しましょう。
- 温度:
ホットスポット: 35〜40℃
クールスポット: 25〜30℃
夜間: 20〜25℃ - 湿度:
40〜60%を目安に、乾燥しすぎないように注意しましょう。
霧吹きでケージ内を軽く湿らせるのも効果的です。
- 隠れ家と水入れ
- 隠れ家:
トカゲが安心できる場所として、シェルターや流木、岩などで隠れ家を設置してあげましょう。 - 水入れ:
いつでも新鮮な水が飲めるように、毎日水を交換します。
体がすっぽり入るくらいの大きさのものを用意すると、トカゲが水浴びをすることもあります。
- 毎日のメンテナンスと餌やり
日々のケアが、健康なオニプレートトカゲを育てる秘訣です。 - 餌やり
オニプレートトカゲは、雑食性のトカゲです。昆虫食と植物食をバランス良く与えることが重要です。
- 昆虫食:
コオロギ、ミルワーム、デュビア、レッドローチなど。
サイズはトカゲの頭の幅より小さいものを選びましょう。
ポイント:
- 週に2〜3回程度、与えすぎないように注意。
- カルシウム剤とビタミン剤をダスティング(まぶす)して与えましょう。
- 植物食:
小松菜、チンゲン菜、カブの葉、タンポポ、果物(バナナ、リンゴなど) ポイント: - 毎日新鮮なものを与える。
- ほうれん草など、シュウ酸を多く含む野菜は避ける。
- 清掃
- 毎日:
フンや食べ残しは毎日取り除き、清潔な状態を保ちましょう。 - 定期的に:
床材の交換、ケージの全体的な清掃を1〜2ヶ月に一度を目安に行いましょう。
- ハンドリング
オニプレートトカゲは、飼い主によく慣れるためハンドリングも楽しめます。
しかし、無理に触ったり、掴んだりすることはストレスになります。
- 慣らし方:
最初は手から餌を与えることから始め、徐々に手に乗せる練習をしましょう。 - 注意点:
- 必ず下から優しく持ち上げるようにしましょう。
- トカゲの機嫌が悪い時や、脱皮中は触らないようにしましょう。
- 飼育上の注意点とトラブル対処法
- 脱皮不全:
湿度が低すぎると、古い皮が綺麗に剥がれず、指先などに残ることがあります。
残った場合は、温浴をさせて自然に剥がれるのを待ちましょう。
- くる病:
UVBライトが不足すると、骨が弱くなり、四肢が曲がったり、うまく動けなくなったりします。
予防のためにもUVBライトは必ず設置しましょう。
- 餌の食べ残し:
昆虫をケージ内に放置すると、トカゲを傷つけたり、ストレスの原因になったりすることがあります。
食べ残しは必ず取り除きましょう。
- まとめ
オニプレートトカゲは、ゴツゴツとした見た目とは裏腹に、非常に温和で人懐っこい魅力的なトカゲです。
適切なケージのセッティングと、毎日の適切な管理を行うことで、初心者の方でも安心して飼育を始めることができます。
彼らは単なるペットではなく、長い時間を共に過ごす大切な家族です。
彼らの個性を理解し、愛情を持って接することで、きっと素晴らしい爬虫類ライフを送ることができるでしょう。
このガイドが、あなたのオニプレートトカゲとの出会いをより豊かなものにする一助となれば幸いです。
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